「プロテインを飲むと疲れる・胃が重い」
医食同源で考える、体の声の聴き方

近年、プロテインは筋トレをする人だけのものではなく、健康維持や栄養補給の一環として、日常的に取り入れる人が増えています。
一方で、「飲み始めてから体調が不安定になった」「合わない気がするけれど、理由がわからない」という声も、決して少なくありません。

この記事では、「プロテインが合わない」と感じる人に起きていることを、疲れ・胃腸・体質という視点から整理しながら、医食同源的に、体に負担をかけにくい栄養との向き合い方を考えていきます。

健康のために始めたのに、不調を感じる理由

プロテインを飲み始めて不調を感じたとき、多くの人は「自分の体に合っていないのかもしれない」と考えます。それは間違いではありませんが、医食同源の視点では、もう少し広く捉える必要があります。

まず前提として、体は「良いもの」を入れれば、そのまま元気になるほど単純ではありません。
どんなに栄養価の高いものでも、消化・吸収・代謝の流れが整っていなければ、それは体にとって“負担”になることもあるのです。

プロテインが合わないと感じる背景には、成分そのものよりも、「その人の体が今、どんな状態にあるか」が大きく関わっているのです。

「逆に疲れやすくなる」ケース

プロテインを飲み始めてから、「以前より疲れやすくなった気がする」。そう感じる人は、実は少なくありません。
医食同源の視点で見ると、疲れやすさの背景には、体の“使われ方”の偏りが隠れていることがあります。

回復より処理にエネルギーが使われている

体が疲れているとき、本来は回復や休息にエネルギーを回したい状態です。
しかしそこに、消化に負担のかかる栄養が入ると、体はまず「処理」を優先せざるを得ません。

• 飲んだあとにだるさを感じる
• 頭がぼーっとする
• 眠気が強くなる

こうした形で、疲れが増したように感じることがあります。これは、栄養不足ではなく「栄養の“入れ方”と“体の余力”のズレ」として現れていることが多いのです。

「お腹が張る・胃腸に負担がかかる」ケース

「お腹が張る」「胃が重い」「なんとなく気持ち悪い」。こうした症状が出ると、成分やメーカーの違いに目が向きがちですが、医食同源の視点では、胃腸そのものの状態にまず目を向けます。

胃腸は今の状態を教えてくれる指標

胃腸の「消化する力」が落ちているタイミングで、消化に時間のかかる栄養が入ってくると、胃腸は無理をして働くことになります。

• ガスが溜まる
• 張りを感じる
• 消化しきれず重さが残る

張りや重さを感じるときは、「胃腸が弱い＝悪いこと」ではなく、「今はまだ受け取る準備が整っていない」という体からのメッセージかもしれません。

ホエイ・ソイが合わない体質の話

「ホエイがいい」「ソイの方がやさしい」といった情報を目にしますが、大切なのは「今の自分の体にとって、どう感じるか」という視点です。

効率よりも「調和」を大切に

ホエイは吸収が早いですが、消化が追いつかないと負担になります。ソイは植物性ですが、人によってはお腹の張りを感じます。
医食同源では、成分表以上に以下の感覚を大切な判断材料にします。

• 飲んだあとに落ち着く
• 重くならない
• 違和感が残らない

もし、ホエイでもソイでも「なんとなく合わない」と感じるなら、それは失敗ではありません。その感覚こそが、今の体の状態を知るヒントなのです。

それは「たんぱく質不足」ではないかもしれません

体調がすぐれないとき、「たんぱく質が足りていないのではないか」と考え、「もっと摂らなきゃ」と焦る人がいます。
しかし医食同源の視点では、不調をすべて「不足」という言葉で片づけることはしません。

体に必要なのは、単に量を満たすことではなく、今の体が“使える状態”にあるかどうかです。
一度立ち止まって、食事のリズム、休息の質、体の余力といった土台を見直すことが、結果的に回復への近道になることも少なくありません。

医食同源的なタンパク質との向き合い方

たんぱく質は「多ければ多いほど良いもの」ではありません。
大切なのは、今の体にとって、無理なく受け取れるかどうかという視点です。

• 飲んだあとに重くならないか
• 眠気やだるさが出ないか
• 胃腸が落ち着いているか

もし違和感があるなら、量を減らす、頻度を下げる、あるいは一度やめてみる。その選択も立派な調整です。
「続けること」よりも「整えること」を優先する。それが、医食同源的な向き合い方です。

食事だけで補いきれない場合の選択肢

基本は「食事を整えること」。ですが、忙しさや体調により、それだけでは難しい場面もあります。
食事だけで補うのが難しいと感じるなら、一時的に“補助的な手段”を使うことも一つの選択肢になります。

ここで大切なのは、「効率よく摂る」ことよりも、「体に負担をかけないこと」。

無理に飲まなくていい人の特徴

医食同源の考え方では、“飲む・飲まない”に正解はありません。
次のような状態に心当たりがある場合は、無理にプロテインを取り入れる必要はありません。

• 飲むと疲れや重さを感じる
• 胃腸の違和感が続いている
• 「摂らなければ」という義務感で続けている

こうしたとき、体は「足すこと」よりも、休ませることや整えることを求めている可能性があります。
逆に、「食事量を増やすのが難しい」「体に負担の少ない形を探している」という状況にある方にとっては、役立つ場面もあるでしょう。

医食同源Labが大切にしているのは、栄養を通して体と向き合うきっかけを持つこと。
無理に続けることでも、我慢してやめることでもなく、その時々の体の声に合わせて選び直すことこそが、長く健やかに過ごすための土台になります。